なぜ、函館に?
昔、若い頃に北海道で勤務していた頃のこと。
真冬の厳しさ(雪、氷、氷点下、いつもどんよりした空模様…)がようやく過ぎると、雪どけとともに残雪の間からフキノトウが芽を出し待望の春がやってくる。
そうなると自然にGWや夏季休暇(北海道は短期間)の気候が良い時期、皆どこかにお出掛けをしたくなる。そうしないと北海道はすぐまた寒くなってくるからだ。
私の知る限りでは、当時は皆あまり北海道よりも外に行かなかった。「道内(どうない)」に魅力的な場所が数多くあるからだと思うが私もそうだった。北海道生まれではないから尚更だったのかもしれない。
会社おさがりの超ポンコツ中古車( MTトヨタカローラ スプリンター )をただで貰って、あちこち行った。富良野、支笏湖、洞爺湖、地球岬(室蘭)、ニセコ、小樽 、積丹(美国)、余市、えりも岬、 等。
一方で、聞けば会社の同僚達はみな「函館」に行くのだという。それも車で36号線をひたすら走る。当時は高速道路もなし。
なして函館なのさ~?
そして私もその函館に行ってみることにした。
レトロ感溢れる街並みと坂道、路面電車も格好良い、朝市の新鮮なイカ(透き通っている‼️)、赤レンガの建物(横浜のような)、ふと入った炉端焼のニシン1本焼きと地酒🍶そしてあの函館山の夜景だ。それもかつて見たことのない夜景の美しさである。池袋サンシャイン60から見るような辺り一面の夜景とは違う。単に光の量ではない。漆黒と光のコントラストは筆舌に尽くしがたい。よく見ると沖合いにはいか釣り漁船の集魚灯が見える。あー本当に来てよかった…。
その後、20年以上の時が過ぎたある日、私達は家族4人で函館に行くことになった。勿論、函館山からの夜景を子供達に見せるために。
それが山に上がると、若干の小雨で天候が悪く函館駅の方だけ一瞬チラッとみえただけで、いくら待っても霧で殆ど見えない。ダメだ。もう遅い時間になってしまった。仕方がない諦めよう…。うーん残念だ!
子供達に妻と私は言った。
「将来、また誰かさんと見においで」
「その時まで楽しみはとっておいたらいいさ。」
子供達「お父さんは夜景見たの?」
「昔、一回だけ見たことあるよ。お母さんと。」
その後、私達家族は函館山をおりて、近くの居酒屋で遅めの夕食をとった。
私はニシンの一本焼と🍶で。
なして函館なのさ~?
なしてもさ。