ノスタルジーに浸る
まもなく母の誕生日がやってくる。
そういえば故郷が北海道である母の実家には幼い子供の頃、夏休みに家族で遊びに行った。
当時は上野駅から青森駅へ夜行寝台特急が何本も走っていた。上野駅18番線ホームで「寝台特急ゆうづる」の入線を待っているといやがおうにも気分は高揚し、子供ゆえ意味もなく早口になったり…。この時の気持ちは昨日のことのように思い出す。
普段は乗れない憧れの存在である寝台特急。バスのような2つ折れの扉、正方形の行先表示(583系の)、2つの☆☆マーク。ベッドにはパリッとした洗い立てのシーツ。今となってはどれもこれもたまらなく愛しい。
そして、上野駅を出発すると流れてくる鉄道唱歌のオルゴール。車掌のアナウンスが終わると、やがて「ゴトン…ゴトン…」という重たくも規則的な車輪の響きと時々通過する踏切のドップラー効果の音を聴きながら快い眠りに就く。
あぁ、なんて幸せだったのだろう…。
そうだ、母の誕生日プレゼントを考えるんだった。先日トースターが壊れて、コンロの魚焼き器でパンを焼いていたら、パンを焦がしたって言ってたっけ。トースターにしようか。