人生初めての非常ボタン
乗っている電車は通勤客でかなり混雑していた。
「まもなく岡山駅到着です」
車掌のアナウンスが入る。
ん? なんか車両の前の方がざわついている。
どうやら高齢の女性が倒れそうになったのを近くにいた2人の女性が抱えて、どうしたら良いか困っている感じだ。
駅に到着してお客はどんどん降りていく。そしてこの電車は岡山駅が終点ではないので、もう電車は発車ベルが鳴っている。
私も仕事があるので急いでいたが、とにかく一旦降りて、駅のホームに設置してある非常ボタンを押した。そして女性2人に非常ボタンを押したことを伝えた。
電車のホーム全体に「ブヮ~!!!!!」という音が響き渡り、周囲はピカピカ光る。電車はそのまま停止。私は両手を大きく振ってこの車両で問題が発生していることを示し、駅員2人が駆け付けてくれた。
高齢の女性がかぶっていた帽子が、私の母のとよく似ていたので他人事ではない感じが今もしている。
大丈夫だったかな‥