会社にいる進撃の巨人
まるで進撃の巨人のごとく
ドスンドスンと物凄い足音をたてて
人を追いかけるようなスピードで
入ってくるその音は恐怖でしかない。
個室の扉を勢いよく閉める大音量に
私は一瞬、首をすくめる。
彼はどうも腹が快調の時が無いようだ。
いつも調子が悪いのだ。
響く音で分かる。
しばらくすると恐怖の独り言が始まる。
毎回、相当怒りに満ちた独り言だ。
ただ、何に怒っているのか内容不明だ。
ペーパーを引き出す回数が多すぎる。
その音もがらがらがら〜!!!響き渡る。
更に、綺麗好きなのは良いが、
手を拭くペーパータオル7枚は使い過ぎだ。
人はこれを潔癖症と呼ぶ。
やがて入ってきた時と同じように
物凄い足音をたてて足速に退出していく。
これこそ嵐の如し。
やがて、静寂が訪れる。
私はその間、個室で息を潜め、
完全に固まっていた。
恐らく強迫観念に駆られていると思われる彼。
哲学の道でも歩いて、心穏やかになれば
と思うのだが。